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キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

21項目検査 #14

今週の21項目検査は、#14(調節ラグの測定)です。

#14Aが単眼での調節ラグ。
#14Bが両眼での調節ラグ。

#5の自覚的検査バージョンとなります。

この検査には、クロスシリンダーと、こういう視標が必要です。

IMG_5447.jpg

なお、#14Bの検査手順は、老視眼の近用加入度の目安を測定する際にも使われています。
別の言い方をすると、調節ラグの検査というのは、老視眼になっていないかたを対象にしたものになります。


では、調節ラグとは何かということになるわけです。
(「調節」とは何ぞや、ということについては、こちらをご覧ください。)

調節ラグとは、そっけなく言ってしまえば「調節刺激と調節反応の差」ということになりますが、そんな説明ではわかりませんよね。


人間が近くのものを見ているとき、眼は「調節」という作業をします。
理論上、この調節する力というのは、眼から見ているものまでの距離(m)の逆数であらわされます。

もし40㎝の距離のものを見ているのなら、1÷0.4で2.5の力(D:ディオプターという単位で表します)が必要になります。
ところが、たいていの場合、人間の眼は「そんなバカ正直に働く必要はねぇよ」ということで、本来なら2.5の力を働かせる必要があるにもかかわらず(調節刺激)、たとえば2.0くらいの力しか出さずに(調節反応)ものを見ようとします。
この場合であれば、2.5の刺激に対して2.0しか反応しなかったので、0.5がラグ(lag)ということになります。

逆に、2.5の刺激に対して2.75の反応をしてしまうようなケースもあり、この場合は0.25のリード(lead)ということになります。

視機能に問題がなければ、多少のラグが生じるのが普通です。
また、片眼ずつでのラグ(#14A)よりも、両眼でのラグ(#14B)のほうが、1段階程度小さくなるのが一般的です。


ついでながら、さらにわかりにくい話をします。

単眼のラグは調節力に由来するもの、両眼でのラグは調節と輻湊の相互関係に由来するものであるため、両者を比較することで、その人の視機能が調節力に問題があるのか、調節と輻湊の相互関係にあるのかの類推がしやすくなるという考え方があります。

すなわち、
「単眼では標準範囲のラグ、両眼ではリード(もしくはリードに近い)」という場合と「単眼でも両眼でもリード(もしくはリードに近い)」という場合とでは、視機能分析をする上での判断が異なってくるということです。
前者は「輻湊不全」、後者は「調節過剰」の可能性が考えられるということになります。

しかしながら、調節ラグの検査は#7(#7A)の精度(両眼の調節バランスや乱視度数)に大きな影響を受けますし、検査そのものの精度にも不安定な部分があるのは事実です。

ですから、調節ラグの結果はあくまでも1つの目安としてとらえ、他の視機能データも踏まえたうえで総合的な判断をすることが、視機能分析には求められるのであります。



ところで、これまで毎週21項目検査の紹介をしてきているわけですが、「偉そうな講釈ばかりで、検査手順を説明してねぇじゃねえか」というご批判もあろうかと思います。

申し訳ないのですが、折に触れ申し上げているとおり、私はそこまで気前よくありませんし、検査手順は、参考書がいろいろあるわけですからそちらをご参照いただければ幸いです。

よろしくお願い申し上げます。

関連記事
  1. 2011/02/16(水) 23:23:48|
  2. 視機能・視覚・検査など
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5

コメント

キベべ様
初めまして。
調節ラグの考え方がイマイチ理解出来ないのですが、40センチで0.5の場合、どの距離でも同じように0.5の調節ラグなのでしょうか?
ご教示下さい
  1. 2015/11/11(水) 14:22:27 |
  2. URL |
  3. ヤーたん #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

ヤーたんさん、こんばんは。

たとえば、同一被験者で80cm・40cm・10cmにてラグの比較をして、有意な差がみられたorみられない、といった研究論文をを読んだことがないですし、自身で検証したこともないので、責任を持った回答はできませんが、どの距離でも同じということにはならないと思います。

仮に、どの距離でも同じであるのなら、極言すれば、無限遠ではどうなるのかという話になりますので。

また、ラグは瞳孔径や視標の細かさにも影響を受けます。
瞳孔径が小さいほど・視表が細かいほど、ラグは小さくなります。
視標が細かいほど、ちょっとのピントのずれで見にくくなりますから、調節がアバウト(ラグが大きい)であれば、判断しにくくなるわけです。

同じ視標を40cmで見たときと、5センチで見たときとでは、5センチで見たときのほうが相対的に視標サイズが大きくなりますので多少のピントの甘さは許容できると思われます。
つまり、距離が近くなるほどラグが大きくなる可能性は否定できないのではないでしょうか。

どの本だったかは忘れましたが、調節刺激が1.5D~6Dくらい(65cm~15cm)くらい(うろ覚えですよ)の間なら、ラグの量はほとんど変化が見られず、それよりも近距離になるとラグが増えるというグラフを見ました。

参考にならなかったらすみません。


  1. 2015/11/11(水) 20:47:00 |
  2. URL |
  3. キベベ #-
  4. [ 編集 ]

キベベ様、こんにちは。

お忙しい中、丁寧に解説頂き大変ありがとうございます。

最近、調節ラグを起因とした近視化説を目にする事が多くなりました。そもそも調節ラグとはどの様なものなのか分かりませんでした。

調節ラグに関する記事を掲載しておられる皆さん方が、近方40センチでの調節の事しか示していない為、いまいち近視化の機序へのイメージがつかなかったのです。

キベベ様のお話を総合すると、どうやら調節ラグとは距離が近づく程、また指標が大きくなる程、大きくなる、と言う事になりそうですね。

許容範囲と言うことから調節ラグの存在理由を考えますと、見えるのであれば調節を少なくした方が楽だからとも言えそうです。実際、見えるのであれば2.5Dより2Dの調節の方が楽です。

ここからは面倒であればお応え頂かなくてかまいませんが、仮に調節ラグの役割が楽をする為だとしたら調節ラグの範囲内ではボケがないはず、ボケがあれば指標がボケて見える、と思います。
眼球の成長過程を考慮しない場合、眼軸の延長による近視化は網膜に何らかのボケが発生するからそれを補う形で起こるものだと思います。換言すると指標がボケるから。これは多分否定する人はいないように思います。
しかし調節ラグではただ楽をしているだけでボケは存在しないと思われるので今新ためて調節ラグによる近視化に疑問を感じました(仮定に仮定を重ねての疑問で戯言かもしれません)。

ここからはご教示頂きたいのですが、

「瞳孔径が小さいほど・視表が細かいほど、ラグは小さくなります。 」

ここで言う瞳孔径が小さいほど、とは瞳孔径が小さい人と言う意味でしょうか?

0.5のラグが働いた場合、調節も輻輳も楽になりますが、瞳孔径は逆に大きくなると思いますのでピンと来ません。

再度ご教示頂けると幸いです。
  1. 2015/11/12(木) 14:54:33 |
  2. URL |
  3. ヤーたん #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

ヤーたんさん、こんばんは。
昨日定休日でしたため、返信が遅くなりましてすみません。

ご質問の件、
「瞳孔径が【大きい】ほど・視表が細かいほど、ラグは小さくなります。 」
の間違いです。
大変失礼致しました。
聞いていただけてよかったです。

瞳孔径が大きい=焦点深度が浅い=許容範囲が狭い、という理屈と理解しております。

ただ、経験上ですが、瞳孔径が大きい人と小さい人(レチノスコープで確認できるレベルの精度)とで、ラグの差が有意に出るような気はいたしません。
相当絞られた瞳孔径でないと、差は出ないのではないかなと思っています。
  1. 2015/11/13(金) 16:30:09 |
  2. URL |
  3. キベベ #-
  4. [ 編集 ]

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このコメントは管理者の承認待ちです
  1. 2015/11/13(金) 23:39:53 |
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