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キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

生理的複視

先月、立体視に関するネタを披露しました。

精密な立体視を得るためには、いくつかの条件が必要になります。
その条件には、ざっくり表現すると
・右眼と左眼が同時に同じ場所に視線を合わせることができる
・右眼と左眼で同時に見たものを、脳で一つのものとして合成できる
というものが含まれます。

前者は運動的な要素、後者は感覚的な要素です。

この二つが同時に備わっているかをチェックするには、「生理的複視の自覚があるかどうかを確認する」のが簡便です。

自分の鼻の前あたりに、右手と左手の人差し指を、こんな感じで並べます。
PD1.jpg
PD2.jpg

手前の指をジーッと見つめたとき、後ろの指がぼんやり2本見えるか確認します。
後ろの指をジーッと見つめたとき、手前の指がぼんやり2本見えるか確認します。

指では分かりにくければ、細い鉛筆やペン先などを目標にするとよいかもしれません。
PD3.jpg

上画像のような状態であれば、赤の鉛筆を見ているときは、青の鉛筆がぼんやり2本見えます。

当方にて合成したイメージ画像です
PD4.jpg

反対に、青の鉛筆を見ているときは、赤の鉛筆がぼんやり2本見えます。

当方にて合成したイメージ画像です
PD5.jpg

ただし、どちらの鉛筆も一本しか見えなかったり、どちらの鉛筆も二本見えてしまうということではいけません。
見ていないほうの鉛筆が、二本見えることがポイントです。

このような現象を「生理的複視(Physiological Diplopia)」と呼びます。
通常、ものが二つに分かれて見えるのは異常ですが、この現象は異常ではなく正常な生理現象です。

なぜ、このような現象が起きるのかということについては、ここでは触れません。
いろいろなことを一から解説しないといけないので、早い話が面倒くさいのです。
ごめんなさい。

生理的複視が自覚できるということは、右眼と左眼が同時に同じ場所に視線を合せており、なおかつ右眼と左眼が見ているものを、脳で合成できていることを裏付けます。
つまり、最低限必要な「両眼のチームワーク」が、ふたつの目標物が置かれている距離においては確立されていることになります。

すなわち、30cmと50cmに置かれた目標物に関して、それぞれ生理的複視を自覚できたとしても、5m、10m先のものを見たときに同じように自覚できるとは限らないわけです。
たとえば、先月のネタにした「両眼を寄せる力」が足りない場合には、目標物が近くなってしまうと、どちらの目標物も一本ないし二本に見えてしまったりするのです。


両眼のチームワークを鍛えるためには、この生理的複視を利用したメニューがあります。
また、この現象が自覚できないと、両眼のチームワークが不完全であることを意味しますので、大型免許や二種免許取得の際に要求される「深視力検査」に合格することは、かなり困難になります。

なお、生理的複視が自覚できるだけでは、その人の両眼視状態が完ぺきであるとは、言い切れません。
精密な立体視を得るためには、それだけでは不十分なのです。
が、少なくとも、第一関門はクリアしているといえるでしょう。

生理的ではない複視については、こちらを。
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  1. 2009/01/26(月) 21:08:04|
  2. 視機能・視覚・検査など
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