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キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

対称性緊張性頸反射

これまで、視覚システムの発達に影響を与える「原始反射」として、
モロ・リフレックス
緊張性迷路反射(TLR)
非対称性緊張性頸反射(ATNR)
をご紹介してきました。

四つ目は、対称性緊張性頸反射(The symmetrical tonic neck reflex : STNR)です。

この反射は存在期間が非常に短いもので、生後6~8か月ごろに出現し、11か月ごろに抑制され始めます。
TLRの抑制効果によって起こる反射とも考えられており、乳児がはじめて重力に逆らう機会を与えるとともに、視覚の発達において重要な役割を果たすとされています。

STNRは、乳児が地面から体を起こし、ハイハイをするための準備をさせるものです。
逆に言うと、この反射があるために、ハイハイを完璧にこなすまでの一時期、乳児はハイハイできずにその場にとどまってしまうことがあるのです。

乳児が頭を起こすと、腰が沈んでお尻がくるぶしについてしまいます。
そのため、前進することができません。
1007022.jpg

乳児が頭を下げると、腕が曲がり、足というかお尻が上がってしまいます。
そのため、やはり前進ができません。
1007023.jpg

参考イラストも提示しておきます。

STNRsally.jpg
イラスト出典; Sally Goddard "The Role of Primitive Survival Reflex in the Development of the Visual System"
Journal of Behavioral Optometry 1995 volume 6/2


TLRが残存していると、頭を上げたときに足が伸び、頭を下げると足が屈曲するわけですが、これとは逆パターンの動きを呈することになります。
つまり、STNRが出現するということは、TLRが抑制されつつあるということを示すことになります。

また、頭を上げる・下げるという動作は、必然的に遠方視・近方視を促すことになります。


ハイハイをするまでの間、乳児は前後に体をゆするような動きをします。
これは、STNRを抑制しようとしていると言えます。
1007021.jpg
1007024.jpg

もしSTNRが長期にわたって残存していれば、滑らかな(?)ハイハイをすることはできません。
お尻を引きずるように移動したり、右手と右足・左手と左足を同時に動かすようになったり、ハイハイそのものをしなかったりします。

STNR残存の影響を受けて成長していくと、姿勢が悪かったり、眼と手の協応が上手にできなかったりといった弊害が生じることもあるのです。


参考文献 「視覚システムの発達における原始反射の役割」 木部俊宏 JOAジャーナル 2002 No.20 Vol.2 
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  1. 2010/07/02(金) 22:24:09|
  2. 視機能・視覚・検査など
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