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キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

眼鏡処方箋について感じていること

お𠮟りを受けそうで怖いですが・・・

多くの眼鏡店では、納品度数・完全矯正値・完全矯正値下での視力・光学中心間距離・どのような主訴および経緯でその度数にしたのか、といったことは控えているはずです。

他方、眼科で発行される一般的な眼鏡処方箋には、処方度数・その度数が遠用なのか近用なのかといった用途・光学中心間距離は記載されているものの、それ以外の情報は滅多に目にしません。
(処方箋の様式によっては、前傾角や角膜頂点間距離の記載があるものもあります。)

このことによって、当店に眼鏡処方箋を持参されたお客様がいらした際に、起きていることを記してみます。
これは、当店だけではなく、他の眼鏡店さんでも起きていることかと思います。


まず、処方箋に記載された処方度数での矯正視力を聞かれるパターン
処方箋に書かれていないので、答えることができません。
答えるためには、自店で測ることになります。
それで済めばよいのですが、ご本人の求めている(想定している)視力にならない場合は、ちょっと厄介です。


処方度数が左右眼ともに
S+0.00 ADD3.00
だったとします。

この処方度数に基づき、遠近両用累進のテストレンズで装用テストを行なうと、「遠くが見にくい」というご返答がありました。
試しにテストレンズを抜いてみても、見えにくさは変わらないようです。
視力を測ってみたら、各眼ともに0.6で、「もう少し見えるようにならないか」と言われました。

裸眼視力が0.6なのに遠用処方度数がゼロというのは、何らかの理由があるはずです。
でも、こちらとしては、なぜ視力が0.6しか出ないのか、なぜ遠用度数がゼロなのか、理由がわかりません。


あるいは、「もう少しハッキリ見たいから、度数を測ってみてくれ」と言われたとします。
完全矯正値がゼロにならなかった場合に、ややこしいことが起こりかねないので、「お断りします」と言えれば良いのですが、そうも言えないので測った結果(これは極端な例ですが)、

右 S+0.50 C-1.50 AX95
左 S+0.50 C-1.50 AX100

にて、矯正視力0.8を得ました。
少しマシにはなるようです。

オートレフの測定値も似たような度数の混合乱視でしたから、眼科での完全矯正値も、おそらく同じ感じだったのだろうと思います。
でも、こちらとしては、上記の処方度数になった経緯がわかりません。
装用テストでの違和感が強すぎて遠用度数はナシにするのが一番良かったとか、何らかの理由があるのでしょうが、それはこちらにはわかりません。

こんなとき、少なくとも完全矯正値と矯正視力が記載されていれば、当店で再測定してお客様に負担をかけることなく「細かな経緯はわかりませんが、眼科さんで詳しくお調べされた結果、これがベストという先生のご判断なのでしょうね。」といったお話はできるかと思います。
(それでご納得されるかどうかは別問題です。)


いわゆる「老眼」の世代に入っているかたの処方箋で、遠用度数のみ、もしくは近用度数のみしか書かれていない場合があります。

装用テストをしてもらうと、遠用度数では近くが見えにくい、近用度数では遠くが見えにくい、ということで「どっちも見えるようにできないの?」と言われました。
お気持ちはわかります。
でも、そういう遠用のみ・近用のみの処方箋が出ているということは、そこに至った経緯があるはずです。

たとえば、
・「免許更新用」と言われたので、遠用度数だけを処方し、近見は考慮していなかった。
・「読書用」と言われたので、近用度数だけを処方し、遠見は考慮していなかった
という、大変失礼な言いかたですが、度数決定前に見えかたの確認が不十分だったとか、希望をうまく伝えられていなかった、という双方のコミュニケーション不足に端を発している場合。

あるいは、

遠用処方度数が

右 S-2.00
左 S-3.50 C-2.00 AX90 

だった場合、このかたが累進レンズで下方視をすると、ベースダウンプリズム作用の左右差が増大し、違和感を生じることがあります。

上記の度数であれば、メガネを外せば作業距離によっては不具合がありませんし、いちいち外すのが億劫なら「跳ね上げフレーム」という選択肢も取れます。
そういったことを配慮して、「免許更新」が主訴であったのなら、「遠用のみ」にした可能性はあり得ます。
でも、こちらには、その経緯はわかりません。


また、
近見での複視を訴えられているかたの近用処方度数が

右 S-1.00  3△OUT
左 S-2.25  3△OUT

だった場合。

もし、このかたの遠見眼位が正位や外斜位だったりすると、累進レンズでは遠用にもベースアウトプリズムが入ってしまうため、装用に耐えないということはあり得ます。
そのために「読書用」が主訴であったのなら、「近用のみ」にした可能性はあり得ます。
でもこちらには、その経緯はわかりません。

どちらの場合も、眼科でそういった説明はされているはずなのですが、ご高齢になってくると理解がなかなか難しかったり、説明された内容を細かく覚えてらっしゃらなかったりします。
眼科受診の時はご家族が同伴されていて、ご家族は説明を理解されていても、眼鏡店にはご家族が同伴されていないということもあります。


ということで、一般的な処方箋の情報だけで販売する場合、お客様に十分なご説明をするのにかなりの努力を要することがあったりするわけです。

一方、小児の治療用眼鏡処方箋だったり、自治体の補助を得て眼鏡購入をする場合に医師が記載する「意見書」には、処方度数の他に裸眼視力・矯正視力・完全矯正値・疾患名等が併記されているのが基本パターンなので、それを拝見すれば少なくともどういう視機能状態なのかは我々はわかります。
お客様には、そこに書かれている以上のことは言えませんが、これによりある程度のコミュニケーションが可能になります。


同じ「処方箋」でも、医薬品であれば「●●病院・●●医院で出してもらった薬」となって「○○薬局で買った薬」という表現にはならないのが普通です。

しかし、メガネの場合は「○○眼科の処方箋で、●●メガネ店で作ったメガネ」となるよりも「●●メガネ店で作ったメガネ」という表現になることが多いと思います。

だからというわけではないですが、購入したメガネの見えかたに不具合がある場合、まず最初にどちらへ行かれるかというと、処方箋を発行した眼科ではなく、購入した眼鏡店のほうが多いのではないかと、私は推測しています。

そういったこともあるので、事前に処方箋を通じて、情報の共有ができていると、とても動きやすいのにな、と正直思っています。
(見えかたの不具合は、度数だけが原因とは限らないことは、再三申し上げている通りです。処方箋にケチをつけているつもりはありません。)

何か質問があるのなら、直接眼科に問い合わせればよいだけの話と言われそうですが、診療時間外だったり、検査担当のかたが作業中だったり、お休みだったりしたら、その場で即解決させることはできなくなります。
それでは、目の前におられるお客様とのやり取りが進みません。

別に詳細な情報がほしいと申しているわけではなくて、
「完全矯正値で装用テストをしましたが、その値での装用は難しいようです」
「遠見・近見で眼位が大きく異なりますので、近用のみの処方になっています」
「眼疾患があるため,眼鏡装用によるこれ以上の視力向上は見込めません」
等々、必要に応じて処方箋に何か添え書きがあるだけでも違うのではないかなと、常々感じているわけでございます。

眼科の事情もよく分かっていないのに、偉そうに勝手なことを申し上げて、大変失礼いたしました。


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  1. 2020/02/16(日) 22:29:56|
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コメント

眼科の処方箋か、メガネ屋の検眼か

とても勉強になりました。

抑お客の論理として気になるのは、タイトル通り、メガネ屋の検眼に任せるのか?或いは眼科にお願いするのが吉なのか?という問題です。ここで言うメガネ屋さんとは10分程度機械で計測するだけのお店ではなく、30分程度あるいはそれ以上かけて自覚的かつ他覚的なそれをするとします。

この場合、お客はどう判断してその二つを評価し注意をすればよいでしょうか?個人的な経験としては眼科の処方箋だと、メガネ屋さんンの検眼より強い度数加入が発生していると感じました。
  1. 2020/02/28(金) 13:35:31 |
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  3. ももー #-
  4. [ 編集 ]

Re: 眼科の処方箋か、メガネ屋の検眼か

最初にお断りしておきますと、このご質問に対して明快な回答をすることはできません。

眼科で度数決定を行なう最大のメリット(眼鏡店ではできないこと)は
①眼疾患との関連性のチェックおよび、視力・度数値に反映されにくい眼疾患の発見
②調節麻痺剤の使用
だと考えています。

では、上記の必要がないケース、たとえば事前の眼科検査で眼疾患はないと言われている近視系の人(一般に調節麻痺剤は使用しない)を対象として考えたらどうかというと・・・

度数決定は「どこの施設で行なうか」ではなくて「だれがやるか」がポイントだと考えています。
つまり、眼科の検査員でもイマイチな人がいれば、逆も然りということです。
時間をかければいいというものではありませんから。
検査員の技術力だけではなく、被検者との相性もあると思います。

ただ、それを言ってしまうと、眼科で測るのがよいか、眼鏡店で測るのが良いか、という議論が意味を成しません。

さきに眼科で度数決定を行なうメリットを挙げましたが、眼鏡店で度数決定を行なうメリットとしては、時間をかけて相談に乗ってもらえるという点があると思います。
特に老視世代になってくると、用途によってレンズの種類や度数を変える必要が出てきますので、眼科の処方箋通りに作るとうまくいかないことがあります。
たとえば、処方箋度数だと40cmはよく見えるが、実はよくよく考えたら60cmがハッキリ見えたほうが具合がよい、というような場合。
これは、眼科の検査がよくないということではなく、そこまで細かな情報を聞き取っている時間的余裕がなかったということです。

眼科で、ひとりの患者さんの度数測定から度数決定決定までに2時間もかけていられないのはお分かりいただけるかと思います。

そうすると、だったら眼鏡店のほうがいいじゃないか、と思われるかもしれませんが、前述のとおりポイントは「だれがやるか」ですから、ハズレのスタッフにあたれば眼鏡店でも良い結果は出ないということです。

では、アタリのスタッフがいる眼科に行くのが良いという話になりますが、前述のように眼科では時間的制約があって、うまくいかないこともあります。

そもそも、アタリ・ハズレをどうやって見分けたらいいかということになりますし、Aさんにとってはアタリでも、Bさんにとってはハズレの場合もあります。
それが相性です。
容姿・センス・しゃべり方・におい・コミュニケーション力等々が、ご自身の許容範囲を超えていたら、「私には合わない」となります。

ということで、冒頭で申し上げた通り、だれもが納得する明快な回答はできません。
言葉足らずの点が多々あり、誤解を招く箇所も多々あろうかと思いますが、突っ込まれないように推敲を重ねる余裕がございませんので、これにて失礼させていただきます。
ご容赦くださいませ。

  1. 2020/02/29(土) 15:46:20 |
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  3. キベベ #-
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  1. 2020/03/05(木) 14:12:33 |
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