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キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

遠視眼の遠点

先週、近視眼の遠点に関するネタをアップしました。

屈折異常度数の単位「D」と遠点距離(m)は逆数の関係にある、ということを記しました。

近視の場合、遠点は眼前の有限距離ですから、-10Dの近視であれば、

遠点距離(m)=1/10=0.1
つまり、眼前10センチになります。


では、遠視眼の遠点はというと、眼後に位置します。
この眼後の解釈が、混乱を生むわけでありまして。


当店ホームページの遠視の説明では、『現代の眼科学』による遠視の定義「平行光線が無調節状態の眼に入ったとき、網膜より後方に結像する屈折状態」を引用して、このような図を掲載しています。

1110042.jpg

そして、この網膜後方に結像しているものを、網膜上に持ってくるために「調節」をして見ているのが遠視の特徴だと述べています。

1110041.jpg

遠視の度数が強ければ強いほど、「調節」をする力が強くなります。(A)


ここからです。

S+0.25Dの遠視眼の遠点と、S+10Dの遠視眼の遠点を計算してみましょう。
前者は眼後4m(1/0.25)、後者は眼後10センチ(1/10)になります。

そうすると、
「S+0.25Dの遠点のほうが眼から遠いのだから、網膜上に持ってくるためにはS+10Dよりも「調節」を働かさないといけないのではないか。上記の(A)と矛盾するのではないか」
という疑問が生じてきてもおかしくないでしょう。


ここで凸レンズや凹レンズ、虚像とか実像などといった話を始めても混乱を増幅させるだけなので、それはやめるとして、ではどう考えればいいのか。


私の母は遠視が強いのですが、若かりし頃「空のもっともっと向こうを見たい、という衝動に駆られた」そうです。
ここにヒントがあるかと。

つまり、遠視眼の遠点は、実際には見ることのできない距離(場所)にあるという考え方です。
これを無理矢理に具体化すると、地面に立ってまっすぐ前を見ているとして「もっと遠く、もっと遠く」を追求していくと、地球を一周してしまうということ。

1110043.jpg

すなわち、実際には見えないけれど、限りなく自分の後頭部に近いところにある遠点を見ようとしているということです。

そう考えると、眼後4mの遠点のほうが、眼前10センチの遠点よりも自分の眼(顔面)に近くなります。
だから、眼後10センチよりも少ない「調節」で済むという話です。


多分に無理がありますが、「眼後」というのはそういう解釈をするのもアリではないかと思うわけです。



関連記事
  1. 2011/10/04(火) 23:40:52|
  2. 視機能・視覚・検査など
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3

コメント

いつもお世話になります。

いつも勉強させて頂いております。


以前コメントを書かせて頂いた者です。


遠視眼の遠点における矛盾には全く気づきませんでした。


地球一周の話しはなるほど!と勉強に
なりました。




しかしながらもう少し突っ込んだ勉強をしたいと考えます。



これらに関する記述がある書籍などご存知でしょうか?
  1. 2011/10/14(金) 04:04:45 |
  2. URL |
  3. A介 #-
  4. [ 編集 ]

Re: いつもお世話になります。

A介さん、こんばんは。


「地球一周」に関しては、遠視の遠点と調節との兼ね合いを理解する上での、かなり無理のある考え方だとは思います。

ちなみに、『よくわかる眼鏡講座』に、同じような記述がもう少し詳しく載っていたはずです。

ただ、本質的に理解するには、光学的な理論を踏まえることが必要だと思います。
といっても、遠点についてわかりやすくまとめてある専門書は、私は知らないのですが。。。。
  1. 2011/10/14(金) 21:49:05 |
  2. URL |
  3. キベベ #-
  4. [ 編集 ]

キベベ様


ご連絡ありがとうございます。


よくわかる眼鏡講座なら友人が持っている為、拝見させて頂こうと思います。

大変お忙しい中ありがとうございます!
  1. 2011/10/14(金) 23:29:31 |
  2. URL |
  3. A介 #-
  4. [ 編集 ]

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