FC2ブログ

キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

現場におけるAC/A ratio

先週、AC/A ratioについてのウンチクをアップしました。

これ、眼鏡店の実務現場において、どんなふうに関与しているのでしょう。

今日はそのあたりの話です。


たとえば、パソコンや読書などの近距離作業の際に眼精疲労を訴える20歳の人がいたとします。

屈折検査をしたところ、近視も遠視も乱視もありませんでした。
つまり、右眼も左眼も完全矯正度数が0.00Dということです。

遠見の融像除去斜位は1プリズムの外斜位。
近見の融像除去斜位は8プリズムの内斜位でした。

単純化するため、これだけのデータで考えると、近見の内斜位が悪さをしているように推測できます。

このとき、Calculated gradient AC/Aが8だったとすると、どうなるかといいますと。。。


AC/Aが8ということは、1Dの調節をすると、理論上というか計算上は、8プリズム内寄せをしてしまう(内斜位が増える=外斜位が減る)ということになります。
逆に言うと、1D分の調節を緩めると、8プリズム外寄せする(内斜位が減る=外斜位が増える)ことになります。


この人は、上記のデータにより、完全矯正度数(この場合は0.00D)を通して40cmのものを見たときに、8プリズムの内斜位が生じるわけですが、

1105232.jpg
IMG_8018.jpg

このAC/Aでいくと、1Dの調節を緩めれば、内斜位が8プリズム減ることになります。
すなわち、正位になります。

1105237.jpg
IMG_8016.jpg

(40cmのものを見るために、理論上は2.5Dの調節をしていることになりますから、その状態から1Dの調節を緩めることは可能なわけです。)

つまり、+1.00Dのメガネを装用すれば(完全矯正値に+1.00Dを付加すれば)、40cmの距離においての斜位をゼロにすることができる、結果として眼精疲労の軽減ができるのではないか、という方向性を立てることができるのです。


無論、これはあくまでも説明するにあたっての例なので、これだけのデータでもって処方度数を決めることは実務においてはあり得ません。

実は遠視が潜伏しているのではないかという可能性も検討する必要があるでしょう。
パソコン作業の距離は40cmとは限りません。
凸レンズを装用すれば、遠見はボケます。それでいいのかの確認も必要です。
メガネを掛けずに何とかしてほしいと言われるかもしれません。

その他、懸案すべき事項はいろいろと湧いてくるのが普通です。
つまり、理論は理論であって、理論の通りに進むほど実務は甘くないのです。

ただ、処方の方向性としては、近業用のメガネ(度数)が必要であることは間違いないと言えそうなわけですから、他のデータで裏付けを取ったり、実際の作業距離を考慮したり、お客様の要望を聞いたりしながら、処方度数(対処法)を決めていくことになります。

このように、AC/Aの概念が頭にあれば、検査データを集めていく過程で対処法を探しやすくなるわけです。
関連記事
  1. 2011/05/23(月) 23:20:16|
  2. 視機能・視覚・検査など
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

コメント

<%template_post\comment>


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
https://optkibebe.blog.fc2.com/tb.php/1013-11a14c8b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)