自分の勘違いで話を進めていったために、どうも噛み合わない、ということはよくあると思います。
当店、というかメガネ店に来られるお客様でたまにいらっしゃるのが、「遠視=遠くが見えにくい眼」「近視=近くが見えにくい眼」と、頑なに信じておられるかた。
無論、遠視の影響で遠くが見えにくいことはありますし、近視であっても近くが見えにくいことはあるわけですが、定義として正しいかと考えると「?」がつきます。
(遠視や近視については、こちらをご参照ください。)
で、そういうかたの度数を調べた結果、近視のために遠見視力が低下していたとして、それを告げると、怪訝な顔をされてしまいます。
「遠くが見えないんだから、遠視じゃないのか」と。
あるいは「最近遠くが見えにくくなってきた。本や新聞は百均で買った老眼鏡で見ている」なんていうかたがメガネを作りにこられたときに、「遠近両用にしましょうか?」と無造作にお尋ねすると「近はいらない、遠だけでいい」とおっしゃられたりします。
「遠く用でいいんだ」と理解して、検査をした結果、遠視であることがわかり、遠見用の度数でお試しいただくと「近くのものも、もう少し見えるようにならないかな。」と言われてしまう、というパターン。
「遠く用が必要なんじゃなかったっけ?」と思い、よくよく話を聞いてみると「遠近両用」の「遠」は「遠視」、「近」は「近視」のことだと理解しておられ、自分は近視じゃないから「近」は不要と思っていた、と。
言うまでもなく、「遠近両用」の「遠近」というのは、「遠くのもの、近くのもの」という意味合いでありまして、
一枚のレンズの中に、遠くから近くまで見ることのできる度数が含まれているレンズになります。
真正面では遠くのもの、レンズの下のほうでは近くのものが見えるような度数配分になっています。
その他、いろいろな勘違いのパターンがあるわけですが、正しい情報をきちんと伝えたり、お客様が何を欲しているかを間違いなくつかんだりするためには、お客様のお話をじっくりと伺うことが非常に大切になります。
そのためには、一人一人のお客様に相対する時間というのがある程度長くなってしまうのは、やむを得ないことではないかなと感じます。
逆に言うと、メガネをお作りになるときには、時間に余裕を持ってメガネ店へお越しになるのがよろしいかと思います。