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キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

オートレフラクトメーターへの依存

以前、業界紙に載っていた消費者アンケートで、眼鏡に関する不満点というようなものがありました。

その回答の中に「度を調べるのに時間がかかりすぎる。なんであんなに時間がかかるのかわからない。」というのがありました。

非常に耳の痛いご意見ではありますが、眼鏡店の中には「度数測定に要する時間(=人件費を要する時間)をできる限り少なく」という方針のもと、非常にスピーディーに度数を決定されているところもあるようです。

これは私の偏見ですが、度数測定にウェイトをかけない施設の場合、オートレフラクトメーターへの依存度がかなり高いと思います。

では、オートレフラクトメーターの精度というのは、実際どんなものなのでしょう。

一般に、ピント合わせの機能がバリバリに働いている低年齢の子供や、眼疾患などで矯正視力が出にくいかたの場合は、あまりあてにならないことが多いようです。
逆に言うと、矯正視力で1.0以上を得る力がある大人であれば、そこそこの精度は出ます。

ですから、オートレフラクトメーターの値でそのまま作ったとしても、結構問題なく使える人は少なくないでしょう。

が・・・・


これは、当店にご来店されたお客様(60代)のデータです。

現在、眼鏡は既製老眼鏡しか持っていないかた。
裸眼視力は、左右共に1.0ありますが、数メートル離れたテレビが見にくいとのことです。

オートレフラクトメーター(当店はオートレフケラトメーター)のデータは、

1207315.jpg

上の黄色いところが右眼、下の黄色いところが左眼の測定値です。

1207311.jpg

左右共に近視はなし、右眼に3段階、左眼に1段階の乱視があります。

このデータをバカ正直に信頼すれば「あ、軽い乱視がありますね。少し見にくいのは乱視のせいですね。」てな具合に話をすすめ、この度数で1.0が見えることを確認した上で、たとえば「右眼は一段乱視を弱く、左眼は度なし」でつくることに決定、となるかもしれません。


ちなみに当店で(妻が)、このお客様に両眼開放屈折検査を行なって得られた完全矯正値はこちらです。

               S       C     AX
1207313.jpg

右眼は1段階の遠視と2段階の乱視、左眼は4段階の遠視と4段階の乱視です。
(120、80という数字についての説明は、大事なことですがここでは割愛します。)
この度数を通して、左右共に1.5の遠見視力が得られています。

こういうタイプの度数は、眼に結構負担を強いるのですが、オートレフラクトメーターでは検知できませんでした。
つまり、オートレフラクトメーターに依存しすぎると、「お客様が実はこんな問題点を抱えていた」というのを見落とすことになります。


もちろん、この一例のみを以って、オートレフラクトメーターを全否定するつもりはまったくありません。
ただ、こういう誤差が生じることもあるのだから、「専門店」を名乗る以上は、オートレフラクトメーターに頼りすぎるのはいかがなものかと思うわけです。

お客様に負担をかけないように、スムースに度数を測定していくのは大切なことですが、それに傾倒するあまり本質的なところを見落としてしまうのは本末転倒です。

しかも実際は、度数だけを測ればそれでおしまいというわけではなく、眼位の検査なども必要になるのが普通ですから、椅子に座って1~2分で度数決定というのは考えにくいです。

専門家として責任のある仕事をしていく上においては、ある程度の時間は要します。
そこのあたりを、いかにうまくお客様に伝えていくかが、我々に求められている大切な課題なのです。





  1. 2012/07/31(火) 23:07:17|
  2. 視機能・視覚・検査など
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