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キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

説明に窮するとき

どこの業界でもそうだと思いますが、自店に来られたお客様との会話の中で、同業他社の名前を具体的に挙げて、あからさまに批判をすることは、普通はありません。

ただ、お客様に説明をしていく過程で、遠まわしに批判となってしまうことはあります。


他店で購入されたメガネを持ち込まれ、「レンズが外れてしまったのですが、直りますか」と尋ねられることがあります。

レンズが外れてしまう理由はいろいろあります。

お客様がフレームを踏んでしまったり、ぶつけてしまったりしたはずみで外れたのであれば話が早いです。
ネジが緩んでしまったような場合も、説明は一応しやすいです。


困るのは、明らかに加工の精度が悪い場合。
「いくらなんでも、これで納品しちゃ、まずいでしょ」という仕上がりのものをたまにみかけることがあります。

「何度か外れたことがありませんか」とおたずねして「そうですねぇ」という返答が得られるときと、「初めてです」という返答が得られる場合とがあるのですが、どちらにしても、ここで修理を請け負ってしまえば、次回に外れたときは、当店の処置が悪かったと言われかねません。

ですから、可能な限り善処はするのですが、それでも「すぐ外れちゃうだろうな」という対応しかできないこともあるわけで。
何とかしようとフレームやレンズを無理していじって、壊してしまったら、身も蓋もありませんし。

このようなときは、「こういう理由で外れやすくなっているので、次回も外れる可能性が高いです」という説明をあらかじめしておかないと、こちらが責任を負うことになってしまいます。


ところが、この説明をするのが、なかなか大変なのです。
お客様は加工技術に関しては知識がないかたが多いですから、わかりやすく説明してもご理解いただきにくかったり、言葉は悪いですが「素人考え」で簡単に対処できるように思われたりします。
下手をすると「自分で直せないものだから、言い訳をしている」と思われてしまいます。


たとえば、こんなケース。

1207153.jpg

ナイロールフレームですが、レンズの形状とリム(金属部分)の形状が合っていないので、隙間があいています。

1207151.jpg
1207152.jpg

明らかにこのフレームとは違う玉型のレンズをはめていることになります。

だからといって、「これ、加工を失敗していますよ」とは言いにくいです。

もしかしたら、元のフレームが壊れてしまって、フレームを別のものに交換したかったのだけれど、うまい具合にレンズを削って移植できるものがなく、やむを得ず、お客様了承のもとで、近い形のものに(無理やり)はめ込んだ可能性もあります。

「フレームとレンズの間に隙間が何ヶ所ができてしまっています。少しフレームの形を修正して、隙間がなるべく目立たなくなるようにしてみましたが、外れやすいとは思います。もっとお直ししたいのですが、これ以上こちらでいじって、フレームを壊してしまうと大変なので、これくらいでご勘弁いただけますか」
この程度のことしか言えません。

「そこを何とかするのがプロだろう」と言われたとしても、私はそれ以上は深入りできません。
釈然としない気持ちだけが残るでしょう。


こういったケースに出くわすたび「お客様は気づかなくても、同業者が見て、下手だな、と思われる仕事はしたくないな」と思います。

  1. 2012/07/15(日) 22:27:33|
  2. メガネ・フレーム・レンズなど
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