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キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

交差性と同側性

融像除去斜位(dissociated phoria)を測定する手法の一つであるマドックス法。

マドックス杆と点光源を用いるものです。

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左眼で点光源を固視し、右眼にマドックス杆を上画像の角度で装用したとすると、

左眼では点光源、右眼では縦方向の線状光が見えます。

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このときの、点光源と線状光の位置関係でもって、斜位の方向を判断するわけです。


斜位がない、いわゆる「正位」であれば、点光源と線状光は重なって見えます。

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点光源よりも線状光が左側に見えた場合、右眼で見えているものが、左眼で見えているものよりも左側に見えますので「交差性」の見えかたと呼び、外斜位であると判断します。

逆に、右眼で見えている線状光が、左眼で見ている点光源よりも右側に見えている場合を「同側性」の見えかたと呼び、内斜位であると判断します。


図示しますと、右眼にマドックス杆をあてている場合は、

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となります。


ではなぜ、外斜位だと交差性になり、内斜位だと同側性になるのか。
「外斜位なら、右眼が外側(本人の右側)を向いているのだから、点光源よりも右側に線状光が見える「同側性」になるのではないか」といった主旨の質問をいただきましたので、教科書的に考えてみましょう。


まず正位の場合。

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右眼と左眼の中心窩(図のf)に、それぞれ点光源と線状光が映りますので、点光源と線状光は同じ位置に重なって見えます。


次に外斜位の場合、

と、その前に・・・


通常、あるモノを見ているときには、そのモノは中心窩に映ります。

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眼の中では、見ているモノがさかさまに映っている、というのはご存知のかたも多いと思います。
中心窩および中心窩を離れた位置に映っているものも、実際に見ているモノとは位置と形がさかさまになっています。

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(小学館の図鑑NEO 人間より)

たとえば、自分が見ているモノ(中心窩に映るモノ)よりも上にあるモノは、眼の中では中心窩よりも下に映ります。
同様に左下にあるモノは、中心窩よりも右上に映ることになるのです。

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難しいですが、これが大前提です。


では、改めまして、外斜位の場合。

左眼で点光源を固視しますと、外斜位がありますので、マドックス杆のあてられている右眼は融像できなくなり、右方向(耳側)に向きます。

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このとき、左眼の中心窩には点光源が映っており、右眼の中心窩には点光源よりも右の空間が映ります。
そして、線状光は、右眼中心窩よりも耳側の網膜に映ることになります。

中心窩よりも耳側(この場合は右耳なので右側)に映っているモノは、実際には中心窩で見ているモノよりも左側にあるように認識しますので、結果として、左眼の中心窩で見ている点光源よりも、線状光は左にあるように見えてしまいます。
これが、交差性の見えかたが生じる理屈です。


内斜位であれば、これと逆のことが起こります。

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右眼中心窩よりも鼻側(右眼なので左側)に線状光が映るので、点光源よりも右側に線状光があるように感じるわけです。

完璧に説明できている自信はありませんが、教科書的に述べるとこんな感じになります。
なお、この「交差性」「同側性」という考えかたは、マドックス法に限らず、フォングレーフェ法であったり、偏光十字視表であったりしても同じ理屈が成り立ちます。


ちなみに、こういう理屈に頼らずに考えるのなら・・・

外斜位で、左眼で光源を固視しているとき、右眼は融像除去下では耳側を向きます。
このとき、右眼にとって、光源は右眼の視線よりも左側にあります。

なので、右眼で見えている光源(線状光)は、左眼で見ている光源よりも左側に見える、すなわち「交差性」の見えかたになるというわけです。



では、最後にクイズです。

「点光源とマドックス杆を用いて、遠見水平斜位の測定をした。
左眼にマドックス杆を装用した時、線状光が点光源よりも右側に見えるとの返答が得られた。
このときの見えかたは、交差性・同側性のどちらと呼ぶべきか答えなさい。
あわせて、この見えかたをしている被検者の遠見水平眼位は、内斜位・外斜位のどちらと考えるのが妥当か答えなさい。」



ヒント。
測定環境は、こうなります。

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解答。
左眼にマドックス杆がありますので、左眼に線状光、右眼に点光源が見える測定環境になっています。
線状光が点光源よりも右側に見えるのですから、左眼で見ているものを右側に感じる「交差性」の見えかたになります。
「交差性」ですから、被験者の遠見水平眼位は「外斜位」と考えるのが妥当です。







  1. 2012/07/08(日) 23:23:38|
  2. 視機能・視覚・検査など
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