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キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

ピンホール

こういう小道具があります。
真ん中に小さな穴が開いているもの。

IMG_0796zz.jpg

こちらは、小さな穴がたくさん開いているもの。

1206202.jpg

どちらもピンホールと呼んでいます。
後者は、マルチピンホールと呼ぶこともあります。


これを屈折異常を完全に矯正していない眼の前にあてて、遠くを見ますと、あてていないときよりもはっきり見えることが多いのです。

なぜか。

近視眼を例にとって説明してみましょう。


近視眼というのは、見ているものの像が、網膜よりも手前に焦点を結んでしまう眼です。
網膜よりも手前に焦点が合っている像は、網膜上ではぼやけて見えてしまいます。
下図Aの状態です。
(下図の縦長の楕円は、角膜や水晶体など、光を屈折させる力を持ったレンズに相当するものとご理解ください)

1206204.jpg


このとき、眼前にピンホールをあてますと、眼の中に入ってくる光の量(幅)が少なくなります。
同じ眼ですから焦点の合う位置は同じですが、網膜上でのボケの量(幅)は少なくなります。
下図Bの状態です。

1206205.jpg


両者を並べて比較してみましょう。

1206203.jpg

網膜上でのボケの量(幅)が少ないほうが、像はマシに見えますので、結果としてピンホールをあてたほうが見やすいということになります。



これは、健康雑誌の付録についてきた、ピンホールメガネ。

1206201.jpg

これを掛けると視力が向上する、疲れ目が解消するなどという謳い文句です。

視力が向上するのは、前述の理屈によるもの。
疲れ目が解消するというのは、眼のピント合わせの機能をそれほど働かせなくても見えるから、という理屈に基づくものでしょう。

実際、「視力回復トレーニング」と銘打って、ピンホールメガネを使用するケースもあるようです。

眼をリラックスさせるのが目的なら、ピンホールメガネを使わなくても方法はありますし、効果には個人差があると思います。
つまり、眼をリラックスさせることが上手にできなくて視力が低下しているのなら、大なり小なり効果はでるかもしれませんが、それ以外の要因で視力が低下しているのなら、気休め・プラセボ程度の効果しかないというのが私の考えです。


一方で、

ピンホールメガネを使うと、眼の周りが暗くなるので瞳孔が開く。

瞳孔が開くことで、隅角という眼の中のスペースが狭くなり、眼房水という眼の中にある水分の循環が阻害される。

眼圧が上がる。

緑内障のリスクファクターになる。

だから、あまり使わないほうが良い、という意見もあるようです。


盲信、やり過ぎはよくないということでしょうかね。


実務においては、度数測定をしてはみたものの、視力の向上が得られないという場合に、このピンホールをあててみる、という使いかたが多いのではないでしょうか。

もし、このときに視力の向上が得られるのであれば、屈折異常の矯正が不十分の可能性が考えられるため、度数測定を今一度見直す必要が出てくるのです。

逆に、ピンホールをあてても視力の向上が得られなければ、メガネのレンズ(度数の変化)では視力向上が得られない、つまり何らかの眼疾患があるのではないか、という推測がたつのです。


  1. 2012/06/20(水) 23:10:18|
  2. 視機能・視覚・検査など
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