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キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

寝ながら老眼がなおる

というコーナーを、先ほどテレビでやっていました。

ハードコンタクトをつけたまま寝ることで度数を矯正するオサートという手法の紹介でした。
オサートは orthokeratologyの進化版だということで、私自身それ自体にイチャモンをつけるつもりはありません。


疑問に思ったのは、このコーナーの内容というかタイトルです。

遠見裸眼視力が両眼ともに0.02の50代前半の女性が老眼で悩んでいる。
これをオサートでなおすというもの。

話の内容を見てみますと、クリニックで近見視力(検査距離30cmとのこと)を裸眼で測っていました。

こんな感じの視力表を使って。
近見視力に関しては、こちらもご覧ください。

007.jpg

きちんと覚えていませんが、このかたの近見裸眼視力は0.15とかそんな感じでした。

近見視力が1.0に満たないので老眼ですね、というテレビの解説(それもどうかと思いますが)。

それで、この女性が一週間だったかな、オサートを体験して、再度、裸眼にて近見視力を測ると1.0。
遠見裸眼視力も0.6になっています。
ご自身いわく、これまで掛けていたメガネよりも弱い度でよくなったとのこと。


はい、何で私は疑問を持ったのでしょうか?


まず、この女性の近見視力はすべて裸眼で測っています。

オサート体験前の、この女性の遠見裸眼視力は0.02です。
女性は近視とのことでしたが、視力から度数はわかりません。
しかし、確実に-3.00Dよりも強い近視であることは推測できます。

この女性の度数が-3.00Dなら、近見裸眼視力は1.0になるはずですし、-2.0D0とか-1.00Dといったもっと弱い度数であれば、近見裸眼視力と遠見裸眼視力のつじつまが合いません。

ですから、たとえば-6.00D(裸眼でピントの合う距離が17cmくらい)前後の近視なのではないかと仮定します。

そして、この女性がオサートをしたことで、-1.00Dくらいの近視になったとしたら、遠見裸眼視力が0.6になってもおかしくはありません。
且つ、-1.00Dであれば、裸眼でピントの合う距離は1mですが、50代前半でも調節力によっては近見裸眼視力1.0が出てもおかしくはないでしょう。

ただ、この女性の話だと、今まで使っていたメガネより、2段か3段くらい弱い度数で遠くが見えるようになったとのこと。
そうすると、上記の仮説とは度数において大きな乖離があります。
装用眼鏡がかなり低矯正だったのかもしれませんが、それなら眼鏡装用下でも近見に不自由はないような気がします。
ということは、単に「老眼であることは間違いないけれど、近視が強いために裸眼で近く(30cmくらい)が見にくい」ということだったのかもしれません。


私はオサートに関して詳しくはないので、もしかすると、遠近両用眼内レンズのような度数コントロールができるのかもしれませんが、いずれにしても、老眼がなおったわけでなく、近視の度数が弱くなったことにより裸眼で30cmくらいの距離のものが見やすくなっただけなのではないかということです。

この女性が、オサートによって「遠見視力1.0を得られるメガネを装用して、近見視力1.0が得られるようになった」のなら、老眼がなおったと言ってもよいでしょうが、そういう検証がなかっただけに、コーナーのタイトルに疑問が残るわけであります。



  1. 2012/02/07(火) 21:37:45|
  2. 視機能・視覚・検査など
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