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キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

レッド・グリーン法

屈折度数測定の過程で、赤色と緑色の背景に黒い二重丸が描かれたチャートを見せられて、
「どちらの黒丸のほうが、はっきり見えますか」
といった感じの質問をされたかたも多いと思います。

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これは「色収差」という光学的な原理を利用した検査法で、遠用度数測定時にはおもに近視や遠視度数の調整に、近用度数測定時には目的距離での加入度数の調整に用いられる検査法です。

今日は、この検査法の理屈について、遠見での検査を例にとって、かいつまんでお話ししてみましょう。


「正視眼」の条件として、「眼が無調節状態のときに、無限遠方からの平行光線が網膜上に結像する」といったものがあることは、何度か申し上げた通りです。

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しかし、厳密には「すべての平行光線」が網膜上に結像しているとは言えません。

角膜・水晶体・硝子体といった透光体を可視光線が通過する過程において、可視光線は分散をしてしまいます。
結果として、網膜上に結像するのは黄色系統の光、波長でいうと590ナノメーターくらいのところのものになります。

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『やさしい光学』 東秀夫著より転載

そして、この黄色い光よりも波長の短い緑系統の光は網膜よりも微妙に前方に、そして波長の長い赤系統の光は網膜よりも微妙に後方に結像します。

誇張して表すとこんな感じです。

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このレッド・グリーンチャートは、眼が無調節状態のときに、網膜よりも前方後方それぞれ等距離の位置に結像するように計算された波長で作られていますので、正視眼の人がこのチャートを五m離れた所から見れば、黒丸のハッキリさは「どちらも同じ」と答えるはずなのです。


もし、近視系の人であれば、平行光線(あえていうなら黄色い光)は網膜よりも前方に結像しますので、イメージとしてはこんな感じになります。

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このとき、赤い色のほうが緑色よりも網膜に近いために、「赤い色が背景となった黒丸のほうがハッキリ見える」といった返答が返ってきます。
そこで、光を網膜のほうに移動させて、どちらの黒丸もはっきり見えるようにさせるために、凹レンズ(マイナスレンズ)を付加していきます。


逆に遠視系の人であれば、平行光線は網膜より後方に結像しますので、こうなります。

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このとき、緑色のほうが赤色よりも網膜に近いために、「緑色が背景となった黒丸のほうがハッキリ見える」といった返答が返ってきます。
この場合には凸レンズ(プラスレンズ)を付加していきます。

ただし、近視や遠視あるいは乱視度数が強い場合には、チャート自体がぼやけ過ぎてしまうので、どちらもハッキリとは見えないでしょう。


まぁ、仕組みとしてはこんな感じなわけですが、この検査を片眼遮蔽した状態で行なう場合は注意が必要です。

つまり、遠見の検査において、このチャートの精度が維持されるのは、「眼が無調節状態である」という前提があるわけで、検査技術が未熟だったり、若い人のように調節が容易に入る眼だと「赤のほうが見やすい」といった返答をしやすくなり、結果として不必要にマイナスレンズが付加されてしまう危険性があるのです。

不用意な調節の介入を防ぐという観点から考えると、両眼開放下でのチェックができる偏光レッドグリーンチャートのほうが、信頼度は高いかもしれません。

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なお、この検査は必ず行なわれなければならないというものではありませんので、念のため。


  1. 2011/11/26(土) 23:01:45|
  2. 視機能・視覚・検査など
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