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キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

近視眼の遠点

いわゆる屈折異常(近視・遠視・乱視)のない状態を「正視」と呼びます。

「正視」の定義を『現代の眼科学』から引用いたしますと、

「平行光線が無調節状態の眼に入り、眼の屈折系で光の屈折が起こって、網膜上に焦点を結ぶもの」 

となります。

1109263.jpg

眼がピント合わせの機能を働かせていない時に、無限遠方の物体像が網膜上に焦点を結ぶ状態です。


話が前後しますが、

「眼がピント合わせをしていないとき(無調節状態)、どの距離の物体像が網膜像に焦点を結ぶのか」
ということを考えたとき、その距離のことを「遠点」と呼びます。

上記の「正視」であれば、「遠点は無限遠方」ということになります。


では、「近視眼の遠点」はどこにあるのでしょう。

「近視」の定義を『現代の眼科学』より引用しますと、

「平行光線が無調節状態の眼に入ったとき、網膜の前方に像を結ぶか、または眼前有限距離にある点から発散する光線が網膜上に結像する眼の屈折状態」

となります。

1109261.jpg

無限遠方の物体像は、網膜よりも手前に焦点を結んでしまうけれど、眼前の有限距離にある物体であれば網膜上に焦点を結ぶことができるわけです。

1109262.jpg

その距離は、どうすればわかるのでしょうか。


屈折異常の度数はディオプトリー(Diopter : D)という単位であらわされます。
眼科学では「ジオプトリー」と呼ぶのが一般のようですが。

8段階の近視であれば、S-2.00D、12段階の近視であればS-3.00Dと表記されます。

この「D」は、焦点距離(遠点距離)と逆数の関係にあります。
遠点距離(m)=1/Dとなります。

ですので、S-2Dなら1/2で眼前0.5mが遠点になりますし、S-3Dなら1/3で眼前0.333mが遠点となるのです。

つまり-2Dの近視の人は、裸眼の時に眼前50cmの距離にあるものが、ハッキリと見えていることになります。

逆に言うと、ある人に裸眼で(たとえば右眼だけで)、細かな辞書の文字のようなものを見てもらったとして、辞書の文字が眼前20cmではボケてしまうけれど10cmまで近づけたときにハッキリ見えたということであれば、その人の右眼の屈折異常は-10Dくらいの近視であろうという予測が立てられるわけです。
(乱視は考えないものとします)


こういった背景があるために、近視の度数によっては、一般的に「老眼」になっていておかしくない年齢であっても、「裸眼で新聞が読める」ということが起こります。
このようなケースでは「私は裸眼で新聞が読めるから老眼ではない」と頑なに言い張る人がいらっしゃいますが、
近視の度数を完全矯正したメガネをかけたときに新聞の文字が読みにくければ残念ながら立派な老眼です。

また、
右眼 正視(0.00D)
左眼 -2.50D
なんていう度数の60歳の人であれば、裸眼であっても遠くは右眼で見えますし、左眼では眼前40cmの物はハッキリ見えますから、メガネなしでもとりあえず不自由はないかもしれません。
そのかわり、裸眼では、常に両眼で物をハッキリ見ることはできませんし、60cmくらいの距離はどちらの眼でも見にくいと思います。



さて、それでは遠視眼の遠点は?ということになりますが、それは今回は省略します。
結論だけ言うと、遠視眼の遠点は「眼後の有限距離」にあるのですがね。




  1. 2011/09/26(月) 23:56:20|
  2. 視機能・視覚・検査など
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