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キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

三つ穴

私がダイエーの文具・玩具売り場で働いていたころ、取り扱い商品は原則として商品部の意向に従っていました。
「あなたの店は、これらの商品を扱ってもらいます。こういうふうに陳列しなさい」といった指示書に沿って売り場を作りをしないといけません。
お客様から「こんな商品を取り寄せてほしい」と言われても、店の判断で勝手にはできませんでした。

チラシ商材にしても「いついつのチラシには、これを載せる」という通達が来て、店側は発注量を決めるだけです。
当時のいわゆるチェーンストアというのは、本部にバイヤーがいて、そのバイヤーが買い付けたものを各店舗に分配するというのが基本的な形でしたから、仕方ないのです。

大ヒット商品となるようなものを発掘してくれるのであればいいのですが、中には「勘弁してくれよ」というものもあるわけで。

私が特に印象に残っているのが、アメリカのファイルというかルーズリーフです。
一昔前のシステム手帳のような風合いで、表表紙と裏表紙がファスナー止めされているので、保管中に中の紙がピラピラしてしまうことがありません。
裏表紙には、ペンをさせるようなホルダーも付いています。
(まぁ、普通にアメリカでは売られているものだということに、数年後気付いたのですが)

仕入れたバイヤーが、うちの店に来て「ワシが仕入れてきたんや。かっこええやろ」と自慢げに言っていたのを覚えています。

ところが、この商材、致命的な欠点がありました。


これは、パシフィック大で売られていたファイルです。
上記のものとは違いますが、アメリカのファイルの特徴というのは、

IMG_5827.jpg

基本的に「三つ穴」ということなんです。

1104233.jpg

日本のような二穴ファイルや、ルーズリーフのような26穴のものはないんです。

ついでに、用紙のサイズも、日本とは違います。
日本では、A4サイズが標準的な書類のサイズになりつつありますが、アメリカではA4とかB5ではなく、8.5×11インチの「レターサイズ」というのが標準です。

縦はA4よりも短く、

1104232.jpg


横はB5よりも長いのです。

1104231.jpg


件のバイヤーが仕入れてきたファイルも、当然レターサイズの用紙を用いるわけです。
もっとも、最初から100枚くらい用紙が付いてきていましたので、当面は用が足せます。
替えの用紙も一緒に送りつけられてきましたので、そういう点では良心的かと思います。
付属の紙がなくなれば、そのスペア用紙を買えばいいのですからね。

しかし、予想通りと言っては何ですが、売れませんでした。
普通に手に入らない規格の用紙を使うファイルなんて、めんどくさいでしょう。
三つ穴のパンチだってないわけだし。
そういうことに気づかずに買ってしまったお客様もいるわけですが、私は正直胸が痛みました。
1冊1000円もしない商品でしたが、金額の問題ではありません。

バイヤーが買い取ってしまった商品ですから、アメリカに返せるはずもなく、店で売るしかありません。
かなり長い間、売れ残っていましたが、最後には、替えの用紙だけが大量に余りました。
ファイルがなければ売れませんので、メモ用紙にでもしてくれればと、二束三文でたたき売る羽目になったのでした。


チェーンストアは、マスのメリットを生かすことができるのが強みだとは思いますが、消費者に最も近い現場レベルでの声を反映させた商品展開をしないと、まずいんじゃないかな。
少なくとも、バイヤーたるもの、自分の扱う商品群については、しっかり勉強しないといけないんじゃないかな、そんなことを当時考えさせられた事例でした。


  1. 2011/04/23(土) 23:13:54|
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