FC2ブログ

キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

視力回復?度数回復?

「視機能トレーニング」と聞くと、「視力回復」のトレーニングだと思われるかたが少なくないようです。

当店にも「そちらでは、視力回復のトレーニングはやっているのですか?」という電話問い合わせがたま~にあります。

「両眼のチームワークやピント合わせの機能を改善させるためのトレーニングを行なった結果、視力や度数に多少の変化が見られることはありますが、それはオマケのようなもので、当店では一般的な視力回復を目的としたトレーニングのご紹介はしておりません。」
といった返答になります。

そうすると、「視力回復のトレーニングをやっている施設がいろいろあるようなのですが、そういうところはどうなのでしょう?」といったことを聞かれることもあります。


私個人は、視力回復をうたい文句にしている施設の広告や訓練内容・訓練結果などを、全否定はしませんが、全肯定もしていないというのが率直なところです。

そういった施設の広告を目にするたびに、常に疑問に感じていることがあります。

広告には必ず、視力が向上していく様子を時系列でグラフにしたものが掲載されているわけですが、

1012121.jpg

これだけでは「度数」の変化については全くわからないのです。


視力というのは、1.0とか0.1などであらわされるもの。
度数というのは、S-3.00とかS+2.50などであらわされるものです。

詳しい話はこちらをご覧いただくとして、問題となるのは「視力から度数は正確に換算ができない」「度数から視力は正確に換算できない」ということです。

たとえば、視力0.1の人の度数が幾つなのかという問いに対して、きちんと答えることはできません。
近視・遠視・乱視、どれがからんでも視力0.1になる可能性はあります。

訓練開始前の度数がこれ、訓練開始後の度数がこれ、といったふうに視力だけでなく度数も併記してもらいたいのです。

たとえば、度数は変わらないのに視力がよくなったというのなら、それは単に「ぼやけた状態、限られた情報の中から、正解を類推する能力」が向上しただけかもしれません。
「何となく、左側が薄く見えるから、このランドルト環は左が空いているのかな」といった推測でも、当たればその視標は見えていると判断されてしまうでしょう。


もうひとつ、極端な例を挙げます。

両眼が+3.00Dの遠視の人(20代)がいたとします。
大学を卒業するまでは裸眼で1.0見えていたのに、就職して毎日パソコンを見ていたら、裸眼視力が0.1になってしまったとします。
この人が訓練によって、裸眼視力1.0になった、ただし遠視の度数は+3.00Dで変わらないとしたら、これははたして視機能の保護の観点から望ましいことと言えるのでしょうか。

この人は訓練の効果で、一時的に低下したピント合わせの機能が回復しただけで、遠視の量が減ったわけではありません。
遠視の人は、遠くを見る時、自分の眼の力をいっぱい使って、はっきり見えるような努力をしています。
近くを見るときは、より多くの力が必要です。

つまり、裸眼でいる限り、常に眼にストレスがかかり続けていることになります。
裸眼視力がいくら良くても、眼精疲労が生じる可能性は十分にあるのです。


私は、訓練の効果を真っ向から否定するつもりはありません。
ただ単に「視力」にのみとらわれるのでなく、視機能をトータル的に考えた上での訓練がなされているのであればよいのですが。
  1. 2010/12/12(日) 23:39:17|
  2. 視機能・視覚・検査など
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0