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キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

非対称性緊張性頸反射

視覚システムの発達に影響を及ぼす原始反射シリーズ。
3回目は、非対称性緊張性頸反射(ATNR: Asymmetrical tonic neck reflex)です。

頭部を片方の側に向けると、頭を向けているほうの手足が伸長し、反対側の手足が屈曲します。

専門家の中には、ATNRは赤ちゃんにとって最初のEye-hand coordination(目と手の協応)であると唱えるかたもいます。
つまり、頭(眼)を向けた方向に手が伸びる、ということです。

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↑なかなかイラスト通りにはいかないものです。

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イラスト出典; Sally Goddard "The Role of Primitive Survival Reflex in the Development of the Visual System"
Journal of Behavioral Optometry 1995 volume 6/2



この反射は、生後6か月ごろを目安に消失するものですが、継続して残存してしまうと多くの機能を妨げることになります。

この反射では、頭・眼・手が決まった方向へ一致した動きしかできません。
したがって反射が残存していることで、このパターンが残っていると、crossing the midlineの確立が阻害されると考えられています。
これは、正中線すなわち、体の中心線を超えての動き・右半身と左半身の統合が阻害されるということです。
たとえば、歩くときに右手・左足、左手・右足の組み合わせができなかったり、体の左側にあるものを右手で取ることができなかったりします。

また、眼球が頭の動きから独立して運動できないため、サケードやパスートとといった眼球運動が阻害され、読書効率が低下します。

同時に、眼と手を独立した形で協応させることも苦手になります。

中心線の概念も希薄になりますので、左右対称の図形を理解したり描いたりすることも困難になります。


不幸にもATNRの残存により、このようなトラブルに向き合ってしまった場合には、右手・左手・右足・左足がバラバラの動きをすることができるような全身運動トレーニングをご紹介することになります。

私が息子の手足を動かす運動をやっているのは、ATNRが生後6カ月以降も残存するリスクを減らすねらいがあるわけです。(どれほど効果があるのかは、甚だ疑問ですが。。。)


参考文献 「視覚システムの発達における原始反射の役割」 木部俊宏 JOAジャーナル 2002 No.20 Vol.2 
  1. 2010/02/10(水) 23:20:00|
  2. 視機能・視覚・検査など
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