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キベベワールド

「メガネの一心堂」の店長が、タメになること・ならないことをつづります

速けりゃいいというものではないのです

ark700.jpg

この機械、「オートレフ/ケラトメーター」と言います。
眼の屈折度数(どれくらいの近視や遠視・乱視があるか)や、角膜曲率(眼の表面のカーブ)を調べる機械です。
ほとんどの眼科に置いてあります。
メガネ屋さんでは、眼の屈折度数のみが測定できる「オートレフラクトメーター」を置いてある場合が多いと思います。

こんなふうに、機械の中をのぞいてもらいます。
howyouse.jpg


お客様は機械の中に、こういう絵が見えます。
なるべく遠方を見ているような意識が働くように、道路のかなたに気球が浮かんでいる絵です。
inxide.jpg


このとき、私は、こんな画面を見ています。
pupil.jpg

瞳孔の形が正円か否か、著しく固視(目標物に視点を定めること)が不安定ではないか、なども同時にチェックします。
この機械での測定結果、および実際にレンズを用いての度数測定の結果によっては「もしかしたら何らかの眼疾患があるのではないか」といった推測をすることもあります。


この機械での測定は、数十秒あれば終わります。
測定結果を印刷した紙が出てきます。
result.jpg


この測定結果どおり馬鹿正直にメガネを作っても、問題なく使えてしまう人がそれなりにいます。
(度数を測定する機械なのだから、ある程度の精度があるのは当たり前です)
こんな簡単に度数測定ができるのなら、だれでも今すぐにメガネ屋さんになれるような気がしますね。

実際のところ、この機械の精度が格段に上昇したことと、数千円でメガネを販売している安売り店が乱立するようになったのとは、無関係とは思いません。


では、この機械での測定結果を100%信頼していいのでしょうか?
上に掲載した測定結果の用紙は、私の妻の眼を測定したときのものです。
結論だけ言うと、妻の「遠くを見るために必要な度数」は、この測定結果よりもかなり弱いです。

つまり、機械の測定結果どおりにメガネを作ったら、間違いなく「遠くは見えるけれど、疲れて仕方がない」という結果になってしまうわけです。

ですから、この測定結果は、お客様の眼の傾向をつかむためのもの、程度の認識にとどめておかないと痛い目に遭います。

そもそも、最終的なメガネの度数というのは、単純に度数だけではなく、ピント合わせの機能、両眼のチームワーク、年齢、希望する視力、使用環境、違和感の有無などのさまざまな要素を考慮して決めるものです。

この機械の結果のみでは、一面的なことしかわかりません。


しかし残念なことですが、この機械への依存度が極めて高いお店が少なからず存在します。
さすがに、機械の結果通りには作らないでしょうけれども、いくらか度を弱めに調整して、お客様がその見え方で一応よさそうだったら、それでオッケーと。
そんなチェックでよいのだったら、数分もあれば終わってしまいます。

当然、両眼の見えかたのバランスであったり、両眼のチームワークなどといった、快適な度数を模索するために必要な項目については調べないでしょう。

その程度の仕事で済ませてしまうのなら、レンズをフレームにはめ込む作業や、フレームを顔に合わせる作業の精度も、高レベルにあるとは到底考えられません。

それで、快適に使えるメガネができたら、運が良かったと思うのが賢明ではないでしょうか。


「コンピューターでスピード検査」なんていううたい文句を見ると、ついつい正確無比なイメージを抱いてしまいがちですが、決してそんなことはありません。
機械を生かすも殺すも、結局は人間次第なのです。
  1. 2008/12/23(火) 21:21:32|
  2. メガネ・フレーム・レンズなど
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